「ビジネスパーソンにはクリティカルシンキングが大事だ!」と思っても、どうやって鍛えたら良いかわからない人も多いでしょう。
クリティカルシンキングを鍛えるには、①知識を得て、②練習・実践するのが大切です。
当記事ではクリティカルシンキング練習のため、
- クリティカルシンキングの演習例題
- クリティカルシンキングの練習におすすめの問題集
について解説します。
クリティカルシンキングの例題1
演習問題1:アタマが良いのはどっち?
次のうち、「アタマが良い」のはどちらでしょうか?
- 記憶力が良いAさん
- 質問ばかりするBさん
一見するとAさんの方が「アタマが良さそう」ですが、はたして本当にそうでしょうか?
2人の日々の言動について、もう少し深ぼってみましょう。
記憶力が良い新人Aさん
Aさんは記憶力が良く、一度先輩に言われたことは決して忘れません。
また、新聞やニュース、最近のトレンドにも敏感で、経済の動向や流行語もよく知っています。
会議中も先輩たちの話を良く聞き、話の内容をよく理解しているため、会議の議事録を完璧に記録します。
ただし、先輩に指示されたこと以外は興味がなく、自分から意見を言ったり何かを提案することは少ないようです。
質問ばかりする新人Bさん
Bさんは記憶力が悪く、先輩に言われてこともメモしないとすぐに忘れてしまいます。
また気になったことがあると納得のいくまで調べないと気が済まない性分らしく、調べ物をしていたら期限内にタスクが終わらないことがよくあります。
会議中は先輩の話を良く聞いているのですが理解できないことが多いらしく、よく「それはなぜですか?」「こうした方が良いのではないでしょうか?」など質問して、先輩を困らせることが多いようです。
ただし、Bさんが先輩に言う意見の中には的を得ていることも多く、一部の先輩からは「あいつの意見は面白い」という声もあるようです。
演習問題1の答え
新人のうちは自分のアタマで考えるより、先輩の指示に従う方が大事なのでAさんの方が「アタマが良い」となります。
しかし長い目で考えると、最初は要領が悪いもののコツコツと努力して自分のアタマで考えるBさんの方が成長してアタマが良くなる可能性が高いと考えられます。
このように、アタマの良さは定点観測のように1つの視点で判断することはできません。複数の視点で考えたり時系列を変えたりして、批判的思考(クリティカルシンキング)で考えるようにしましょう。
クリティカルシンキングの例題2
演習問題2:横ヤリ常務への対処法
新商品のパンフレット作成を任されていたAさん。デザインから印刷の発注まで全部任されていたので、とてもやりがいを持って仕事をしていました。
部長から依頼された仕事だったので部長からの承認を得て、稟議申請も通し、ついに自分でデザインしたパンフレットがオフィスに届きました。
届いたパンフレットを見てみんなで喜んで読んでいると、何やら険しい顔の常務が、Aさんの前に来て口を開きます。
「今回うちから出す新商品のコンセプトは、これまでの商品とは180°違うものだ。それなのに他の商品と同じようなデザインでパンフレットを作ったら、差がわかりにくいだろう。もう一度作り直したまえ」
Aさんはびっくりしましたが、「今回常務に見つかったのは運が悪かっただけだ。しょうがない。大人しく作り直そう」とすぐに気持ちを切り替えます。
さて、今回の件は、本当に常務が突如として横槍を入れたのが悪かったのでしょうか。
どうすれば今回の事態を防ぐことができたか考えてみましょう。
演習問題2の答え:
今回Aさんが常務に横槍を入れられてしまったのは、誰が最終決定者なのかを事前に確認していなかった点にあります。
いつもは依頼者である部長にだけ承認を得ていれば良かったかもしれませんが、新商品のパンフレットならば社運をかけた重要な商品である可能性もあります。
部長から依頼を受けた段階で、Aさんから部長に「この新商品の最高責任者は誰でしょうか? パンフレットは販促する上で重要な役割を持っているので、その方にも承認を取ってから発注したく」など最終責任者の確認をしておけば、その場で常務の名を聞けたかもしれません。
このようにいつも同じ仕事をするのではなく、「自分が今からしようとしている仕事は、本当に会社としての目的を果たせるのだろうか?」と、一度自分を疑う癖(批判的思考)を付けるようにしましょう。
クリティカルシンキングの例題3
演習問題3:暴走社員が生まれる理由
Aさんはフットワークが軽くて頭の回転も早く、勤勉で、会議でも的を得た発言を連発する優秀な社員です。
入社して最初の方は「Aすげぇなぁ、こりゃ期待できるぞ」と言われていましたが、数回プロジェクトにアサインされたころには「あいつに関わるとめんどくさい」と言われるようになってしまいました。
というのも、Aさんは周囲に確認をせずに自分の仕事を進めてしまうのです。
先日も、Aさんが稟議申請した業務改善ツールの申請内容に不備があったので、経理部の人が詳細を聞きに行くと、なんとAさんは稟議承認されていないにも関わらず業務改善ツールを導入してしまっていたのです。
優秀なはずなのに周りと上手く連携しながら仕事ができないAさん。彼に足りないのは何なのでしょうか?
演習問題3の答え:
Aさんの仕事が上手くいかず周りから見て暴走してしまうのは、「組織(ゲーム)のルールを理解していない」点にあります。
ルールというのは前提条件や制約条件のことを指し、その組織で仕事をする上で必ず守らなければいけないルールのことです。ゲームのルールと考えることもできるでしょう。
Aさんは「こうすれば上手くいく!」と思った瞬間そのことしか考えられなくなり、ルールを疎かにしてしまう傾向があったのです。
クリティカルシンキングの練習におすすめ問題集3選
クリティカルシンキングのトレーニングにおすすめの問題集を3冊紹介します。
論理トレーニング
哲学や論理学の世界では有名な野矢茂樹先生によって書かれた問題集です。
論理トレーニングというと難しくて楽しくなさそうに思えますが、本書は楽しみながらトレーニングができるようにさまざまな工夫が施されています。
クリティカルシンキングが必要な練習問題も収録されていますので、学術的知見に基づいた練習問題を通してクリティカルシンキングを鍛えたい人におすすめです。
問題解決ドリル
問題解決力が養われる30の問題を解いていく問題集です。
クリティカルシンキングを必要とする演習問題を解きながら、自らのクリティカルシンキング力を高めることができます。
思考する回数をこなしたい人におすすめの問題集です。
問題解決トレーニング
先ほどの本と同様、問題解決トレーニングができる本で、本書にはクリティカルシンキングの練習問題が50問収録されています。
問題解決トレーニングの本の中では、ずば抜けて問題数が多いと言えるでしょう。
難易度の高い練習問題をたくさん解きたい人におすすめの問題集です。
Audibleで聴いて、何か作業をしながら考えるのも良いかもしれませんね。
まとめ
今回は「クリティカルシンキングの演習例題」「クリティカルシンキングの練習におすすめの問題集」について解説しました。
クリティカルシンキングを鍛える上で知識の習得はもちろん大切ですが、それ以上に思考回数をこなすことが重要です。
今回ご紹介した演習例題や問題集で練習をして、より洗練された思考法を目指してみてください。
では、また。