対人関係に悩みを抱えている人なら「メタ認知」という言葉を一度は耳にしたことがあるはず。
「なんだか難しそうな名前で、自分にはできないだろう」と思う方もいるかもですが、そんなことはありません。メタ認知はトレーニングを重ねることで誰でもできるようになります。
当記事では、自分をコントロールして対人関係を改善するスキル「メタ認知トレーニングの具体的なやり方」について解説します。
メタ認知能力とは?
メタ認知トレーニングについて解説する前に、まずは「メタ認知能力」とはどのような能力なのかを理解しておきましょう。
メタ認知とは一言でいうと「周りから見た自分を客観的に把握・予測し、それを踏まえて自分を制御していく一連の認知行動」を指します。
しかしこれだけだと分かりにくいので、ここからメタ認知能力をさらに2つの要素「メタ認知的知識(理論・知識)」と「メタ認知的活動(実践・評価)」の2つに分解して考えます。
メタ認知的知識
メタ認知的知識とは「メタ認知の静的な部分」のことです。理論や知識を頭で理解して、記憶する工程などを指します。
具体例としては、
- 自分の性格特性
- 他者の性格特性
- 場面ごとの振る舞い方
- メタ認知の知識
などが挙げられます。メタ認知トレーニングのやり方もメタ認知的知識に分類されます。
メタ認知的知識を高める方法としては、当記事のようなメタ認知関連の記事を読むか、メタ認知関連の書籍を読むのがおすすめです。メタ認知関連の書籍については「メタ認知の勉強におすすめの本16選【ビジネス・教育・脳科学】」でまとめてありますので、良かったら参考にしてみてください。
メタ認知的活動
メタ認知的活動とは「メタ認知の動的な部分」のことです。現実の対人関係を通して、メタ認知的知識を活用したり、リアルタイムで自分を客観視して言動に反映したりすることを指します。一般的な「メタ認知」も、こちらを指すことが多いです。
メタ認知で重要とされる要素「自分を客観視すること」と「自分を制御すること」は、メタ認知的活動における「メタ認知的モニタリング」と「メタ認知的コントロール」と同義です。メタ認知トレーニングをする際にも「モニタリング部分(自分を客観視すること)」と「コントロール部分(自分を制御すること)」に分けてトレーニングを行います。
メタ認知的活動が上手くいかないという人は、まず「自分はモニタリングに問題があるのか、コントロールに問題があるのか」を知ることで、メタ認知的活動を改善していくことができます。
メタ認知トレーニングの具体的なやり方【3ステップ】
さて、いよいよメタ認知トレーニングの具体的なやり方について解説していきます。
とはいえいきなり「自分を客観視したり、自分を制御したりすること」は難しいと思います。そのためメタ認知トレーニングでは、メタ認知的活動を以下の3ステップに分けて考え、それぞれの工程で行うべきメタ認知的活動を習慣化させることを目指します。
- 事前段階【オフライン:自分の脳内】
コミュニケーションを行う前の認知活動 - 遂行段階【オンライン:対人コミュニケーション】
実際にコミュニケーションを行っている最中の認知活動 - 事後段階【オフライン:自分の脳内】
コミュニケーションを行った後の認知活動
重要なのは、メタ認知的活動を「完璧にすることではなく、習慣化させること」です。習慣化させれば気づいたら自然とメタ認知能力が高まっていくので、まずは習慣化させることを目指しましょう。
それでは各ステップにおけるメタ認知的活動について解説します。
事前段階でのメタ認知トレーニング【オフライン】
事前段階でのメタ認知トレーニングでは、これから行われるであろうコミュニケーションを「脳内でシミュレーションする習慣」を身につけてください。
対人関係で起きる問題の9割は「事前の予測」で防ぐことができます。「これを言ったら相手はどんな反応をするか」「自分はこんな行動をしたら場の空気はどうなるか」などですね。
最初はそんなことを考える余裕がなかったり、考えてみても分からなかったりすると思いますが、それでも続けてください。
遂行段階でのメタ認知トレーニング【オンライン】
遂行段階でのメタ認知トレーニングでは、先ほど脳内シミュレーションした際に「最も最善だと思ったシミュレーション」を実行してみてください。
ここで大切なのは、シミュレーションの内容を忠実に実行することです。シミュレーションしたことと違うことをしてしまうと、シミュレーションをした意味がありませんので、遂行段階では必ずシミュレーションしたことを実行してください。
万が一イレギュラーが発生した場合には、もう一度「事前段階でのメタ認知」からやり直します。
事後段階でのメタ認知トレーニング【オフライン】
事後段階でのメタ認知トレーニングでは、シミュレーション通りに実行した「結果の振り返り」を行います。
おそらく多くの人が、これまで「自分の言動に対する振り返り」を行ったことがないと思います。「いや、あるよ!」と思うかもしれませんが、そのときに振り返った結果は、100%自分を客観視できた内容だったでしょうか?
メタ認知トレーニングにおける結果の振り返りでは、「言動によって生じた事実」と「その事実に対する他者の認知」にフォーカスして行います。
具体的には、以下の項目について振り返ってください。
- 【事実の整理】実行の結果、どのように現実が動いたか
- 【原因の特定】②のようになった原因は何か
- 【解決法の検討】③はどのように解決できるか
まとめると、①事実を整理して、②原因を特定し、③解決法を考える。以上の3ステップを踏むことで、メタ認知的に言動の結果を振り返ることができます。
振り返った内容は、次の「事前段階でのメタ認知」で活用することで、少しずつ自分のメタ認知能力をアップデートすることができますよ。
まとめ
当記事では「メタ認知能力の概要」「メタ認知トレーニングの具体的なやり方」について解説しました。
メタ認知能力は、継続的にメタ認知トレーニングを積み重ねることで必ず身につきます。私生活から仕事まで、自分の人生を豊かにしたい人は一度お試しあれ。
では、また。