たしかにメタ認知関連の本は種類がたくさんあり、内容も小難しいものが多くてどれから読めばいいか困りますよね。
そういうときは、目的に合わせて3~5冊くらいをまとめて読むのがおすすめです。1冊だけだと知識や情報に偏りが生じてしまうので、新しいことを学ぶ際には最低でも3~5冊読むことをおすすめします。
特定分野に関する本を3~5冊も読めば、知識や情報の偏りはほとんどなくなるので、その分野について基本的な正しいインプットできている状態になるでしょう。
当記事では、
- メタ認知能力とは何か
- メタ認知能力を鍛えるメリット
- メタ認知の勉強におすすめの本
というテーマで解説します。
メタ認知能力とは?
メタ認知能力とは「自分の認知活動を客観的に捉え、評価した上で自分の言動を制御する能力」を意味します。
感情の赴くままに話したり行動したりせず、自分の言動を客観的に考えた上で言葉や行動を選べる人は、メタ認知能力が高い人ということになります。
話していて「この人の話し方は知的で、頭が良く感じるなぁ」という人は、だいたいメタ認知を使いこなして話しているでしょうね。
話すと長くなるのでここではメタ認知の解説をこれくらいにしておきますが、メタ認知能力の意味や定義について詳しく知りたい人は下記の記事がおすすめです。
メタ認知能力を鍛える3つのメリット
メタ認知が実生活で役に立ちそうなのは何となくわかったものの、もう少し具体的に役立つ場面を知りたい人もいるでしょう。
というわけで、メタ認知を勉強するモチベが上がる「メタ認知能力を鍛えるメリット3選」を解説します。
後悔することが少なくなる
メタ認知能力が高い人はよく考えてから発言や行動をするので、あとで後悔するような失敗をしにくくなります。
もちろん失敗を恐れて挑戦しないのはダメですが、余計な一言、うっかりミスなど、しなくて良い失敗をする必要はありません。
後悔している間は頭がそのことでいっぱいになり、行動が止まってしまうので、その点でもいらない失敗はしない方が良いですよね。
メタ認知能力を鍛えることで、防げる失敗を防ぎやすくなります。
良好な人間関係を築ける
メタ認知能力が高い人は、感情に任せて発言しません。
イラッとしても、「ここは感情を出して良い場面かどうか」を考え、ふさわしくないときは感情を抑え、怒っても良いときは怒ります。ただし、怒るにしても建設的に意見を述べるに留まるでしょう。
このようにメタ認知能力が高いと自分の感情の変化に察知して、人間関係のトラブルを防ぎやすくなります。
ついカッとなって口喧嘩をしたり、人間関係を崩壊させてしまったりする人は、メタ認知能力を鍛えることで人間関係のトラブルが改善するかもしれません。
精神疾患・発達障害が改善される
メタ認知能力が高い人は、自分の感情や価値観の偏りに気づけます。
落ち込んでいても「あれ、よく考えたらこれ自分が悩む必要のないことでは」と気づいたり、人に反撃しそうになったときも「ここで反撃しても火に油を注ぐだけだな、止めておこう」と踏み留まれたりするわけです。
もちろん障害がない人より努力は必要ですが、 知っておくだけで精神疾患や発達障害の症状を改善することにつながります。
メタ認知とうつ病や発達障害については、下記の記事で詳しく解説しています。
メタ認知とうつ病
メタ認知と発達障害
メタ認知をビジネスに活用したい人におすすめの本7選
答え無き時代こそ 「メタ認知」することの重要性
一番優しい「メタ認知の入門書」とも言うべき本です。
「そもそもなぜメタ認知が必要なのか?」というとこから知りたい人に向けた本で、時代がこれからどのように変化するのかと、それによって必要となるスキルの1つに「メタ認知」があることを分かりやすく解説してくれています。
「メタ認知」という言葉を初めて知った人は、こちらの本から読んでみると、「なぜ今メタ認知の重要性が叫ばれているのか」を理解することができます。
具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ(細谷巧)
本書では、人間の思考を「具体的思考」と「抽象的思考」の2つに分けて考え、人と円滑なコミュニケーションをとったり、物事を正しく理解したりするためには、この2つの思考を行ったり来たりすることが重要だと記されています。
このとき、2つの思考を行ったり来たりするときに必要なのが「メタ認知」です。人間が思考の沼に埋もれているとき、多くの人は「具体的思考」か「抽象的思考」のどちらかに偏りすぎています。
メタ認知について深く理解しなくても、本書を読めば自然とメタ認知を日常生活やビジネスの場で活用することができるでしょう。本の内容も読みやすく、メタ認知学習における最初の一冊におすすめです。
メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問(細谷巧)
メタ認知の基本は、メタの次元で考えを巡らせる「メタ思考」です。この本では、メタ思考の基礎知識とメタ思考を習得するトレーニング法を一気に学ぶことができます。
メタ思考は「Why型思考」と「アナロジー(類推)思考」から構成されており、本書ではこの2つの思考法を体系的に学習・習得することができます。
分かりやすく簡潔に、しかし詳しく網羅的に書かれている本ですので、メタ認知についてこれから学ぶ人も、メタ認知についてある程度の知識を持っている人も、多くの学びを得ることができる一冊です。
超俯瞰思考(福島毅)
「俯瞰思考」とは、あらゆる事象や物事を俯瞰して観察する思考法のことです。
俯瞰して観察することで、感情の波に飲まれたり、他人の意見に左右されたりすることなく、常に自分の意思で物事を決定できるようになります。
本書では、自分自身で正しい決断を下すための思考法「超俯瞰思考」の概要から実践方法まで分かりやすく書かれています。2019年11月現在では、Amazonのレビューが星5つでした。
問題解決のジレンマ―イグノランスマネジメント:無知の力(細谷巧)
本書では、哲学者ソクラテスの「無知の知」や、ドラッカーが唯一書き残したとされる「無知の力」を使って、問題解決に役立てるための方法論について記されています。
メタ認知の一分野「自分を客観視する(メタ認知的モニタリング)」の根源には、「自分はすべてを知っているわけではない」という「無知の知」の思想が含まれています。
問題解決のためのヒントは「自分が知らないところに眠っている」かもしれません。本書を読んで、まだあなたの知らない問題解決のヒントを探してみてはいかがですか?
自己矛盾劇場「知ってる・見えてる・正しいつもり」を考察する(細谷巧)
「あの人は、人の『批判』ばかりしている」という「批判」、これが自己矛盾です。
「他人を批判することで、自分を優位に立たせたい」という欲求がこのような自己矛盾を引き起こすのですが、この欲求を律するのは簡単なことではありません。
感情と知性の構造をメタ認知で捉えて、自分自身と対峙するきっかけになる一冊です。
insight(インサイト)いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力
人生やビジネスにおける成功と失敗を左右する、最も重要な要素は「自分を知る力」です。
仕事で成果を出したり、良好な人間関係を築く上で「自己認識力」は必須のスキルです。しかし多くの人は感情や思い込みに囚われ、自らの可能性を狭めてしまっています。
本書では、ビジネスや社会における組織心理学に精通した著者が、膨大な研究と理論を整理し、より深く自分を知るための方法を分かりやすくまとめています。
教育分野のメタ認知の勉強におすすめの本6選
メタ認知的アプローチによる学ぶ技術
本書は、自分の能力を高めたいすべての人が対象となる「学習法」について説いた本です。
子供から大人まで、自分の能力を最大限に発揮するための方法を「認知心理学」の観点からアプローチしています。
本書を読めば、いわゆる「頭の良い人」はなぜあらゆる場面で適切な言動をとったり、適切な判断を下すことができるのかが分かります。
メタ認知で〈学ぶ力〉を高める: 認知心理学が解き明かす効果的学習法(三宮 真智子)
本書は「メタ認知」自体の有効性について研究結果などのエビデンスを用いて論理的に解説した上で、メタ認知を活用した学習方法について解説しています。
かなり専門的な内容ですので、読む際にはそれなりに腰を据えて読んだ方が良いでしょう。教育現場などで働いている人が読めば、実務にも使えそうなアイデアがたくさん入っています。
メタ認知: 学習力を支える高次認知機能(三宮 真智子)
本書では「学習におけるメタ認知の有用性」というテーマで、情報を深掘って解説されています。
メタ認知を使って学習効率を上げる方法、人の学習能動性を上げる方法など、いかにして人の学習力を支えるかについて徹底的に論じられています。
本の構成や文章、図などから著者の真摯な姿勢が伝わり、非常に説得力のある内容の本です。
メタ認知 基礎と応用
本書では、メタ認知の基礎と応用を、学術的なアプローチで網羅的に解説しています。
学術書なので読むハードルはやや高いですが、メタ認知について一度体系的に理解しておきたい人は必読の一冊です。
「思考」の文脈で語られることの多いメタ認知ですが、本書では「記憶」の面からもアプローチしています。
メタ認知の教育学――生きる力を育む創造的数学力(OECD)
本書はメタ認知を体系的に教育へと盛り込んだ「メタ認知教授法」という学習法について記された本です。
メタ認知教授法は、教科の成績(知識や理解、未知の情報に対する理解力など)だけでなく、教科に対する不安を減少させたり、やる気を高めたりといった感情面での成果も期待できます。
本書では、苦手意識を持つ人の多い「数学」にフォーカスして、解説されています。
SDGsの基礎
本書はSDGsの入門書ではありますが、その中にメタ認知能力を伸ばすための教育指導に関する記述もあります。
SDGsとは「持続可能な開発目標」という意味で、全世界でより豊かな社会を実現するための教育・成長目標のようなものです。
つまり「メタ認知」は全世界共通で重要視されているスキルであり、本書ではそのメタ認知をいかに世界の教育現場に浸透させていくかを知ることができます。
教育の本はこちらの記事で詳しく紹介しています。
心理・脳科学・医療分野のメタ認知の勉強におすすめの本3選
「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学
「人間が『わかった』と認識する構造は一体どうなっているのか」
メタ認知は、ぼくたちが何を「わかった」と思い、それが正しいのか正しくないのかを理解するところから始まります(これをメタ認知的モニタリングといいます)。
本書では人間の思う「わかった」や「これが正しい」を脳科学の分野から見ており、理論的に人間の脳がどのように世界を見ていて、理解しているのかを知ることができます。
脳科学の本はこちらの記事で詳しく紹介しています。
メタ認知療法 うつと不安の新しいケースフォーミュレーション
メタ認知はうつ病の治療にも有効だと言われています。
思考がネガティブな方に向いている時間が長いと、気分も落ち込みやすくなります。
メタ認知を活用すれば、必要以上にネガティブなことを考えている自分に気づくことができるため、症状の悪化を防ぐことができると言われています。
本書はそのための具体的な方法論について書かれています。
認知行動療法の本はこちらの記事で詳しく紹介しています。
うつ病のためのメタ認知トレーニング
本書では、うつ病改善を目的としたメタ認知トレーニングの具体的な方法論について書かれています。
それぞれのトレーニングの目的や効果の解説と、実施にあたってのマニュアルもあるので、メタ認知トレーニングが初めての人でも、正しいやり方でトレーニングに取り組むことができます。
表紙が少しとっつきにくいかもですが、專門書はそういうものと割り切りましょう。
心理学の本はこちらの記事で詳しく紹介しています。
まとめ
今回は「メタ認知とは何か」「メタ認知を学ぶメリット」「メタ認知の勉強におすすめの本」を紹介しました。
メタ認知は仕事でも私生活でも役立つ、非常に汎用性の高いスキルです。あらゆる問題解決に役立ち、あとで言動を後悔する回数を減らすことができます。
実践は難しいですが、知識として理解するのはそこまで難しくないので、この機会にメタ認知の本を数冊だけでも読んでみてはいかがですか。
では、また。